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株主の皆様へ

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新経営計画「Mission 2030」を推進し「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる。」ことを目指してグループ一丸となって更なる変革に挑んでまいります。

2022年度のわが国経済は、個人消費や設備投資が上向くなど景気は持ち直しの動きがみられましたが、資源価格が一段と高騰したほか円安が急激に進行し、先行きに対する不透明感が高まりました。世界経済は、各国で物価の上昇が進んだほか、ウクライナ危機の長期化や、中国ではゼロコロナ政策により経済活動が抑制されるなど、減速感が強まりました。

このような経済環境のもと、当社グループは、2018年度より5ヵ年の経営計画「Denka Value-Up」における2つの成長戦略「事業ポートフォリオの変革」と「革新的プロセスの導入」を推進し、業容の拡大と収益性向上に注力いたしました。また、最終年度までの直近2年間では、次期経営計画のありたい姿へ飛躍するための大切な準備期間と位置づけ、「社会にとってかけがえのない存在」になるための第一歩として、「事業」「環境」「人財」に関する3つの「Value-Up」に取り組みました。
この結果、当期の業績は、世界経済減速の影響を受け、主力製品の一部で需要が減少しましたが、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の見直しを行ったほか円安による手取り増があり、売上高は4,075億59百万円と前年同期に比べ227億9百万円(5.9%)の増収となりました。収益面では、原燃料価格の上昇に応じた販売価格の改定を行いましたが、主力製品の一部で販売数量が減少したほか、スペシャリティ化進展のためのコスト増があり、営業利益は323億24百万円(前年同期比77億99百万円減、19.4%減益)となり、売上高営業利益率は7.9%(2.5ポイント減)となりました。また、経常利益は280億25百万円(前年同期比84億49百万円減、23.2%減益)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、事業ポートフォリオ変革としてセメント事業からの撤退を決定したことに伴い製造設備の減損損失等を特別損失として計上したほか、政策保有株式の縮減、売却を進めたことによる特別利益の計上があり、127億68百万円(前年同期比132億44百万円減、50.9%減益)となりました。

2022年度までの前経営計画「Denka Value-Up」では、「卓越した競争力をもち交易条件に左右されないスペシャリティ事業の融合体」を目指し、スペシャリティ事業の成長加速や基盤事業のスペシャリティ化・コモディティ事業の再構築といった事業ポートフォリオの変革を進めるとともに、ESG経営強化に向けた環境・人財への取り組みにも注力してきました。この結果、この5年間で最高益を3回更新し、重点部門である「環境・エネルギー」「ヘルスケア」分野での営業利益合計は、「Denka Value-Up」開始前の2017年度から2022年度はほぼ倍増しました。しかし、昨年度は一部の基盤事業の収支が低迷した結果、全体としては残念ながら減益となり、事業のスペシャリティ化は未だ道半ばの状況にあります。

本年度よりスタートした新経営計画「Mission2030」は、新たに制定したビジョンを拠り所に「事業価値創造」、「人財価値創造」、「経営価値創造」の3つを成長戦略として、2030年度をゴールに財務・非財務の双方に重点をおいた取り組みを実行して企業価値向上につなげていくものです。成長戦略の中核をなす「事業価値創造」では、当社の持つ卓越した技術に裏付けられた「スペシャリティ」に、社会の要請である「メガトレンド」、そして事業運営の必須要件である「サステナビリティ」を加えた3要素を併せ持つ事業を「3つ星事業」と定義し、当社のポートフォリオを集中いたします。また、社員一人ひとりが共感力を発揮し、自己実現と成長を実感できる企業を目指すとともに、ESG経営の観点からコーポレートガバナンスの高度化などを通じた経営基盤の更なる強化に取り組むことで、人財価値と経営価値を高めてまいります。

当社は、新たなビジョンを拠り所に新経営計画「Mission 2030」を推進し「化学の力で世界をよりよくするスペシャリストになる。」ことを目指してグループ一丸となって更なる変革に挑んでまいります。株主のみなさまにおかれましては、一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申しあげます。

2023年5月

代表取締役社長今井 俊夫

株主還元方針(経営計画「Mission 2030」)(2023~2030年度)

1. 株主還元方針

総還元性向50%(基準)を継続
※総還元性向=(配当+自己株式取得)÷連結当期純利益

2. 投融資計画

スペシャリティ・メガトレンド・サステナビリティの3要素をそなえた「3つ星事業」100%に向け、3,600億円の戦略投資(成長・プロセス・環境・M&A)を実施

3. 研究開発計画

8カ年で1,800億円(基礎研究費500億円を含む)

4. 期間

2023年度~2030年度